学校営業担当者が『Appleのデジタル教育』を読んで思ったこと
この記事ではAppleのデジタル教育 という書籍について、
- 本の概要=Appleが考えるこれからのデジタル教育が向かう先
- 学校への営業的観点から見るおすすめポイント
を紹介しています。
ICTやデジタルの教育に携わる方は是非、一読すべき本となっています!
『Appleのデジタル教育』とは?
Appleの教育部門における初代バイス・プレジデントであるジョン・カウチ氏による、
これからのデジタル教育がどのような方向へすすんでいくのか?
Appleという会社が教育や学校に対してこれまでどのような活動を行っていたか?
を書いた本です。
なぜ、この本がおすすめであるか?
それは、
Appleの考える教育感=今後のデジタル教育の1つの指針
であることは間違いないからです。
今後、学校現場には生徒1人1台のタブレットが整備されます。
下記の記事でも紹介したように、政府は本気で動いています
この生徒1人1台のタブレットという流れの中で、
iPadが機器の選択肢の1つになっています。
政府が示す調達仕様書の例の中にもiPadは記載されています。
スクショ
すなわち、これから日本が目指す教育のデジタル化の方向性の1つとして
政府としてもAppleが選択肢に入っているのです。
そのAppleの考えを知ることができるため、
これからの教育に携わる方々にとって、知っておいて損はありません。
また、この本を読んで感じたこととしては、
Appleの教育感は想像以上に現場目線であった
ということです。
どうしても、デジタル教育を推進する方の中には、
今までの教育をデジタルを使用してガラッと変える!
というような、デジタルを主役として捉えてしまう人もいます。
しかし、Appleは違いました。
- あくまでもデジタルは手段であり、学びの主体は生徒にあること
- 生徒の学びの可能性を広げるためにデジタルは使われるべき
という主張がこの書籍では一貫されています。
デジタル教育、1人1台タブレットというワードに踊らされることなく、
生徒にデジタルを通してよりよい教育を提供する
と考えた際のヒントが、この本には詰まっています。
筆者のオススメポイント3選
ここからは、新卒から大手教育系企業に勤めて4年になり、学校や教育委員会へICT教材の営業を行う部署にて月に10~20件ほど学校の関係者との商談や飛び込み営業を行っている、デジタル教育に詳しい筆者が感じた特にオススメのポイントを紹介します。
生徒に学習と成功をもたらす学習空間
これまでの教室は、画一的な環境でしかありませんでした。
前方に黒板があり、教師がそこで授業を行う。
生徒の机は、
黒板が見やすいように=先生が管理しやすいように
規則的に並べられています。
この教室の配置は、
1対多数という、従来の授業を行う際には最も適した形でした。
しかし、生徒が本当に関心のある事柄を学ぶ、身につけようと思ったら、
その環境には次の4つの内容が欠かせません。
1.生徒同士が、お互いの顔を見合わせ話し合えるキャンプファイヤのような場
Skypeなど、オンライン上で複数人が同列で話し合える空間がいい
2.公式、非公式問わず生徒同士が情報交換をできる水飲み場のような空間
仕事中、休憩スペースでの同僚とのちょっとした会話からアイデアがひらめくことがある、そんなような場
3.1人きりで学習に打ち込める洞窟のような場
自らの課題に集中できる自習室のイメージ
4.学習したことを実際に活用することができる山そのもの、山頂のような場
実際にやってみる機会が必要
このような4つの機能を持った空間が、学習に最適な空間であるという。
この空間をつくるために、教室や机などを物理的に変えてもいいし、
難しい場合にはデジタルのオンライン講座や画面共有での意見の交換といったデジタルの力を活用すればいいのである。
変化に重要なサポート
この章では、
iPadを導入後の研修やサポートについて触れている。
Appleとしても、教育の変化のカギは研修とサポートであると考えているようである。
機器のみを導入したところで、うまく活用できる教師や生徒のほうが少ない。
しかし、実際にうまく活用できない場合には、
デジタルなんて教育にいらなかったんだ!
と批判にさらされることも多い。
Appleは、iPadを導入する学校に対して研修やサポートをオプションとして必ず提案するそうである。
デジタルそのもの、機器の導入自体ではなく、実際に使えるということがいかに重要か知っているからだ。
下記の記事でも紹介したように、筆者も学校へICT教育が普及するにあたり、
先生への活用方法の提案や研修は必須であると考えている。
導入して終わりなのではなく、導入してからがスタートなのである。
Appleのような超がつくIT企業であっても、現場の先生の重要性を認識している
ということが最も伝わり、この本で筆者が最も好きな章である。
教師の役割
どのような教師でも念頭においているであろう、
標準的な学力の生徒にわかる授業
について、この本では
それは結局、誰にも教えていないのと同じ
であるという。
生徒は1人1人違うのである。興味関心や学びたいこと、
学ぶことに最適な方法など。
このことは、教師は十分に理解しているが、今までの教室では
生徒1人1人にあわせた学びを提供するのは難しかった。
そこで、デジタルの力を借りればいい。
そうすると、教師の役割は得意なことや、熱中できることなど、
生徒の才能の自覚を促すこと
であるといいます。
そのために教師が、適切な質問を投げかけ、行動を促し、結果のフィードバッグを行うなどのファシリテーターの役割を果たすようになる。
また、自らが学ぶことでその姿勢を生徒にみせ、学ぶキッカケを与えるのも、教師にしかできない仕事になっていくのです。
他にも、コーディングやテクノロジーの活用方法といった、
Appleならではの考えに触れることができる本となっています!
是非、一度手にとって、デジタル教育について考ええみましょう!